最高裁判所第三小法廷 昭和44年(オ)250号 判決 1969年10月07日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人平松久生の上告理由について。
原判決の認定によれば、昭和三七年一〇月三日上告人と被上告人との間に成立した契約において、上告人が同日から二年間横芝町横芝東町町内において被上告人と同一業種のパチンコ店を営業しないことを約したというのであつて、このように、期間および区域を限定しかつ営業の種類を特定して競業を禁止する契約は、特段の事情の認められない本件においては、上告人の営業の自由を不当に制限するものではなく、公序良俗に違反するものではないと解すべきであり、右契約に基づいて被上告人が上告人に支払つた七五万円が不法原因給付にあたるとすることはできない。したがつて、右金額の返還を命じた原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 関根小郷 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美)